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2020年6月24日、東京ミネルヴァ法律事務所が、破産手続き開始決定を受けました。
この破産は、弁護士史上最高額の破産額であり、また大きな問題点がありました。
・広告会社(リーガルヴィジョン)に乗っ取られた弁護士事務所
・依頼人の過払い金25億円を横領
こうした問題から破産手続きも長期化、2024年現在ようやく最終配当の段階に入りました。
依頼者からの預かり金は約30億円ほどでしたが、25億円は不正流用されたよう。
(ミネルヴァ法律事務所の預金は5億円ほどしかなかったため)
2024年2月17日付で、第一東京弁護士会から最も重い除名処分としました。
(破産管財人である岩崎晃弁護士のHPから一連の流れは把握できます)
どのような経緯があったのか?確認してみましょう。
2020年6月10日、弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所(東京都港区)の代表である川島浩弁護士が、所属する第一東京弁護士会へ、弁護士法人の解散届を提出しました。
解散前から弁護士会の会費を滞納し、同弁護士法人の資金繰りは圧迫していたようです。
第一東京弁護士会は、「東京ミネルヴァ法律事務所が顧客からの預かり金を流用(横領)している」という事実を把握し、緊急相談窓口を設置しました。
そのため、弁護士法人の解散をさせずに、第一東京弁護士会が破産申立てを行いました。
これは異例の事態と言えます。
なぜ、東京弁護士会が、解散・清算をさせずに、破産の申立てを行ったかがポイントです。
自主的に清算手続き(プラス財産・マイナス財産の整理)を行わせると、ミネルヴァの裁量で清算ができてしまいます。
これでは、横領の事情などもうやむやになる可能性がありました。
破産では、第3者機関である裁判所と破産管財人が、清算処理を行います。
預かり金である過払い金が、広告会社へ不正流用した事実を考えると、破産手続きのほうが適正な処理ができるというわけです。
東京ミネルヴァ法律事務所の破産は、多額の広告費が原因です。
・過払い金のCMやラジオを行う
・地方での過払い金の相談会開催
・過払い金のチラシをポスティング
こういった事務所では、月に何千万円、多いところでは億単位で広告費を捻出しています。
広告費を元手に、アディーレ法律事務所や中央事務所(旧:新宿事務所)のように、莫大な利益を上げる事務所もあります。
しかし、そうでない事務所もあるのです。
・広告費をかけても赤字になっている
・広告費が売上げを圧迫している
・赤字解消のためにまた広告を行う
こうした事務所もあるのです。
2017年に破産となった司法書士法人のぞみも、負債総額2億5000万円を抱え倒産。
ミネルヴァ法律事務所と負債額に差はあるものの、こちらも、過払い金の広告費が原因で破産したと言われています。
くしくも、東京ミネルヴァ法律事務所も、司法書士法人のぞみも、ある広告会社の存在が浮上してきます。
それが、士業向けの広告サービスを展開する株式会社リーガルビジョン(元DSC)です。
東京ミネルヴァ法律事務所には、広告会社としてリーガルビジョンが携わっていました。
このリーガルヴィジョンの悪質な広告費が原因で破産に至っています。
通常の弁護士事務所や司法書士事務所では、紹介で依頼を受けるケースが多いでしょう。
そのため、人件費・テナント代だけが経費となり、広告費経費になりません。
自社で、ホームページや広告を運営している事務所もいわゆるこのタイプです。
外部の広告会社に支払いがない分、大きな経費がかかりません。
紹介もなく、売上げを確保できない事務所は、外部の広告会社に頼らざるを得ません。
こうした営業能力や経営能力がない事務所が、様々な問題を起こしている傾向があります。
東京ミネルヴァ法律事務所も、これに属するタイプでした。
負債の大部分が広告費、そして「この広告が意味がない」ので、負債が拡大したのです。
広告は利益を上げるのが目的、マイナスになるなら広告をやる意味はありません。
しかし、そのような状況でも、広告を続けたのには理由があります。
なぜ東京ミネルヴァ法律事務所は、リーガルビジョンの広告を使い続けたのか?
2019年3月の時点で、既に東京ミネルヴァの負債額は30億円を超えていたようです。
つまり、負債を解消する手段が他にないため、広告に頼るしか方法がなかったのでしょう。
しかし、何度広告を行っても、負債だけが山積みになっていった。
この負債を解消するために、過払い金の横領も始まっていたのでは?と推測されます。
東京ミネルヴァの負債に比例して、リーガルヴィジョンは利益を得ていたことになります。
リーガルビジョンの関連会社が、東京ミネルヴァ法律事務所の経理を管理。
そのため、東京ミネルヴァの依頼人のお金と知りながら、リーガルビジョンやその関連会社への広告費として不正流用していたようです。
ミネルヴァの弁護士の管理責任が、ずさんであるのはいうまでもありません。
しかし、弁護士やその多くの依頼人の人生を狂わせて、巨額の富を得ているリーガルビジョンが許されるわけがないのは、当然です。
リーガルビジョンの売上げは、ミネルヴァの広告費が7割を占めていたと言われています。
通常の会社なら、売上の7割を占める取引先が倒産すれば、連鎖倒産します。
ましてや、これだけの大問題を起こしてしまったとなると、リーガルビジョン自体が会社を閉鎖するかもしれません。
しかし、そうなると、東京ミネルヴァのように、リーガルビジョンの広告費によって自転車操業状態に陥っている事務所は、同じように倒産する可能性がでてきます。
リーガルビジョンの広告がなくなれば、これらの士業事務所が、自力で生きれる可能性は極めて低いかもしれません。
しかし、ここには大きな問題があります。
それは、東京ミネルヴァのように事務所が破産を迎えてしまうと、何の罪もない依頼人たちの手続きは中止され、今回のミネルヴァ事件のように依頼人が路頭に迷うことになります。
弁護士については、自らが選んだ道であり、一経営者として同情の余地はありません。
しかし、その事務所を信頼した依頼人には何の罪もありませんが、こうした依頼人も大きなダメージを受けることにつながります。
2021年1月10日に、東京地方裁判所で第1回債権者集会が開催。
また、同年7月7日には第2回債権者集会が開かれました。
東京ミネルヴァからリーガルビジョンその関連会社に支払われた金額は、合計115億円。
(115億円の内訳)
・リーガルビジョンに61億円
・グループの人材派遣会社に対し2億円
・グループのコンサル会社に対し51億円
3社はグループ会社のため、一部重複している可能性もあるようです。
これについて、破産管財人は否認を申立て、不当利得返還訴訟を提起しました。
令和4年1月24日に開催された第3回債権者集会では、この件につきリーガルビジョン側との和解も成立し、破産財団の債権が大筋で確定しました。
一方で、これ以外に、福井地方裁判所に、東京ミネルヴァの元依頼者の相続人3 名が、破産管財人に対して410万円の返還を求める訴訟を行っています。
※相続債権者3名とミネルヴァの間で信託契約が成立している。破産管財人が、ミネルヴァの預り金口座を解約して破産財産に組み入れることは不当利得になるという主張。
この裁判が確定しなければ、破産手続きでの配当ができないため、待機する必要があります。
東京ミネルヴァ法律事務所から過払い金が戻ってこなかった依頼人17名が、6000万円余りの損害賠償請求を、リーガルビジョンを相手方に提訴されたようです。
こちらは、令和4年1月17日に提訴されたため、審理はこれから始まっていくでしょう。
名古屋高等裁判所金沢支部に係属する控訴審判決が、2022年末に言い渡されました。
結果は、破産管財人の勝訴、東京ミネルヴァの元依頼者の相続人3 名の敗訴です。
敗訴した3名は最高裁判所へ上告を行い、最高裁判所の判断に委ねられます。この結果が出るまで、「配当ができない=破産手続きが終わらない」となります。
(訴訟結果によって配当財産に影響が出るため)
第6回債権者集会は令和5年3月1日から開催されましたが、特に進展なしです。
上記最高裁判所の判断を待つばかりですが、残念ながら時期は未定です。
3年前の2020年6月に破産申立てがなされましたが、未だ解決の目途が立たず。本年2023年内に配当処理が終われば良いほうだと思われます。
破産手続きも最終段階を迎えており、第一東京弁護士会によると「うまく進めば2024年2月中に終了」と発表しています。
2024年1月に「配当額確定の通知」が発送され、1月25日以降から順次配当金の返還が行われています。
過払い金の未返還額は30億円程度。しかし、ミネルヴァ法律事務所の財産は5億円ほどしかないため、25億円分は戻らない計算となります。
そのため、当初発生していた過払い金よりも、大幅に低い金額しか戻りません。
配当金は破産管財人名義で振り込まれるため「ハサンカンザイニン イワサキアキラ」名義で振り込みが行われるようです。
なお、東京ミネルヴァ法律事務所の依頼人であっても、樫塚紘之法律事務所(弁護士法人オーガスタ)に引継ぎをされた依頼人は、今回の配当の対象ではありません。
あ配当金を受け取るには委任契約が中途で解除されたことを示す証拠(樫塚紘之法律事務所(あるいは、弁護士法人オーガスタ)の解除通知、あるいは、解除に伴う精算書等)の提出が必要となります。
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横浜市出身。司法書士・行政書士15年目。過払い金請求や債務整理が専門分野。
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