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日本学生支援機構(JASSO)の奨学金から、過払いが認められました。
2022年5月19日、札幌高等裁判所の控訴審判決にて、保証人が行った学生支援機構の奨学金の返済に、過払い(不当利得)が認められました。
これは、一般的な過払い金と違います。利息制限法を超える金利の返済を根拠に、認められたわけではありません。
「分別の利益」を前提に認められたものであり、対象者は「保証人」です。
奨学金の支払いのできなかった本人ではありません。
同判決に基づき、これから、2000人近くの保証人に返還が行われていくようです。
2022年5月19日の札幌高等裁判所での控訴審判決では、「保証人は自己の負担部分である1/2の返済をすれば足りる。超過部分の返済は不当利得(過払い)として保証人に返還するもの」と判示されました。
これを受け、日本学生支援機構は、同年6月2日に、ホームページ上で以下のコメントを発しています。
・超過返済をした保証人に返金手続きを行うこと
・現在返済中の保証人にも、今後は1/2の負担部分しか請求しないこと
そのコメント原文が下記の内容です。
去る5月19日の札幌高等裁判所判決を踏まえて対応を検討した結果、今回の判決は、保証人の可分債務は当該保証人からの特段の権利主張を要することなく当然に分割債務になるとするなど、これまでの本機構の考え方とは異なるものでしたが、今般の高裁における判断を真摯に受け止め、上告を行わないこととしました。
今後、請求が認められた原告の方に対して所要の支払手続を進めるとともに、本機構に記録が存在する過去5年以内の返還完了事案を含め、保証人の方から自己の負担部分を超える弁済を受けた返還金についても、個々の保証人にご連絡した上で速やかに超過額の返金手続を進めてまいります。
対象となる方々には、今月中旬から7月上旬頃にかけて、順次ご連絡を差し上げる予定です。
なお、これまで保証人の方への請求に当たっては返還未済額の全額を請求してきたところですが、今後は判決内容に照らし、返還未済額の2分の1の額を請求させていただくこととします。
本機構としては、今回の判決を踏まえて一層適切な対応に努めてまいります。
日本学生支援機構が、本人が払えなくなった奨学金の残金を、保証人に「全額」払わせていたことがこの問題です。
日本学生支援機構の奨学金には、人的保証(保証人型)と機関保証(保証会社)の2種類があり、人的保証では、連帯保証人と保証人を1名ずつ保証する仕組みになっています。
この連帯保証人と、保証人には大きな違いがあります。
連帯保証人は、本人と同一の立場で全債務の返済責任を負いますが、保証人は、「分別の利益」を有し、未払い奨学金の1/2の責任を負えば足りるのです。
しかし、機構は、保証人に全額の請求を行っていました。
まさか、国の公的機関である機構が、保証人の性質を無視した請求を行っているとは、思わないでしょう。
結果、こうした知識のない保証人は、機構の言われるがまま、未払い奨学金の全額を払わされていたという経緯があります。
日本学生支援機構も、もちろん「分別の利益」は理解しています。
ただし、彼らの主張は、「全額請求すること自体は問題ない」というものです。
機構が、保証人に分別の利益を説明する法的義務はない。
保証人が全額を支払うか、分別の利益を主張して1/2を払うか、の問題と捉えているのです。
これでは、連帯保証人と保証人の間に境界線はなく、本来の保証人の責任を超えた扱いを受けているといっても過言ではないでしょう。
分別の利益を知っている保証人は1/2の返済で済み、知らない保証人は全額を払うことになるというのは、あまりにも公平性を欠いています。
せめて、「1/2の返済義務しかありませんが、あなた(保証人)が支払う気があるなら全額でも構いません」と保証人に伝えているなら、話は別です。
この場合は、事実を把握した上での全額返済になるので、今回のような訴訟にも発展はしなかったでしょう。
保証人と連帯証人では、その責任に大きな差があります。
保証人にはある権利で、連帯証人にはないもの。
それが、分別の利益・催告の抗弁権・検索の抗弁権という権利です。
保証人が複数いる場合には、その人数で按分した金額だけを負担すればよいことを、分別の利益と言います。
例えば、本人が100万円の借金を負担し、これに保証人AとBがいるとします。
この場合、保証人Aが50万円、保証人Bが50万円の責任を追えば足り、AもBも100万円全額の責任を負う必要はありません。
一方で、連帯保証人には、分別の利益は認められていません。そのため、連帯保証人は、本人と同様に100万円全額の責任を負います。
日本学生支援機構が保証人に支払いを請求してきたとします。この場合に、本人が払える限りは、本人に支払いを求めるよう主張できる権利を、催告の抗弁権と言います。
催告の抗弁権は、連帯保証人には認められていません。そのため、機構は、本人が払えていても連帯保証人に請求することもできるのです。
日本学生支援機構が、保証人に奨学金の返済を請求してきたとします。
この場合に、本人に資産がある場合などは、返済を拒否できる権利のことを検索の抗弁権と言います。(ただし、この本人の資産や執行が可能かは証明の必要があります)
連帯証人には、検索の抗弁権はありません。
よって、本人が返済できる資産を持っていても、機構からの請求を拒むことはできません。
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横浜市出身。司法書士・行政書士15年目。過払い金請求や債務整理が専門分野。
・司法書士(神奈川県会2376号)
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