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2023/05/23更新

過払い金請求の裁判と示談を比較!

それぞれの費用対効果や期間を比較

「裁判をしたほうが過払い金は多く戻る…?」
「裁判で過払い金請求する場合のデメリットは?」

過払い金を請求する方法は、大きく分けて2つあります。

・裁判をしないでお互いが譲歩して和解する「示談」

・多くの過払い金が戻ってくることを重視する「裁判」

金額重視は「裁判」、スピ―ド重視は「示談」が、一番分かりやすい表現かもしれません。

依頼人1人1人の事情によっても、裁判がいいか?そうでないかは異なります。

裁判と示談、それぞれを比較してみましょう。

過払い金請求の示談と裁判

裁判をせずに示談で解決する場合

通常は、交渉を行い和解をするのが一般的です。これを示談と言います。

「過払い金100万円の内、85万円を2か月後に返還」などのように交渉をしていきます。

納得のいく返還金額や期間であった場合には、これで和解を行います。

裁判を行って過払い金を請求する場合

・示談では満足のいく金額で和解できない
・争いがあり和解がまとまらない
・過払い金の他、利息も受け取りたい

こうした場合に、裁判で過払い金請求を行っていきます。

利息の返還を求めるには、貸金業者が「悪意の受益者であったこと(過払い金を返さなければいけないことを知っていた)」を証明しなければなりません。

裁判官の判断で、これを認めてもらえると元金の他に、利息が戻ってきます。

利息は、過払い金を返すべき時点から、過払い金が返還される時点まで請求できます。

裁判のメリット・デメリット

裁判を行うメリット

・過払い金の返還額が増える
・利息も戻ってくる

争点(揉める点)がなければ、確実に裁判のほうが過払い金の返還額は増えます。その理由は、過払い金の全額返還と、利息分の返還を求めるためです。

裁判のデメリット

・時間がかかる
・裁判所の記録に残る
・裁判費用がかかる

訴状の作成・裁判所への申立て・口頭弁論期日への出廷など、様々行程を経なければならないため、示談より時間がかかります。

また、過払い金の裁判を行った記録は、裁判所に5年ほど残ります。

裁判と示談の比較

  示談 裁判
返還の目安 過払い金の約50~90% 100%
利息の返還 なし あり
裁判所へ出廷 なし 代理人が出廷
個人情報提供 なし 裁判所に提出

裁判にかかる費用は?

裁判で過払い金請求を行う費用

裁判で過払い金請求を進める場合、裁判費用が発生します。

「裁判費用がかかっても裁判を行う価値があるか?」費用対効果を考える必要があります。

当センターでは「裁判で戻るお金がどのくらい増えるか?」その目安を事前にご説明します。その上で、裁判を進めるか?進めないか?を検討して頂きます。

裁判費用は、依頼先に支払う手数料と実費に分けられます。

依頼先に支払う手数料

裁判を行う場合には、成功報酬の%がアップします。ほとんどの事務所が5%アップで、当センターも一緒です。

例えば、15%の成功報酬の場合、裁判では20%になるイメージです。

・裁判でも示談でも成功報酬が変わらない事務所
・裁判の場合は成功報酬が10%アップする事務所

こうした事務所もあります。

裁判に関連する実費

・裁判所までの交通費(管轄裁判所による)
・収入印紙(訴額による)
・予納郵券(数千円程度)
・登記簿謄本(1通500円程度)

このような費用が、裁判所に納める実費として必要になります。

裁判の期間はどのくらい?

裁判の期間について

「裁判にどのくらいの期間がかかるのか?」これは正直いって様々です。その理由は、カード会社によって、裁判に強気な会社と弱気な会社があるからです。

平均的な目安で4か月~8か月、遅くなると1年近くという場合もあります。

争点の内容により期間は延びる

裁判が早く終わるか遅くなるかは、争点のあり・なしも影響します。

争点ありとは、過払い金の発生に「争いがある」場合です。例えば、1度完済後に再利用がある場合、貸付停止措置がある場合などが、争点です。

こうした事情があると、審理が長くなります。争点がなければ、審理するものは少ないので、裁判はすぐに終わるというわけです。

裁判官によっても期間は影響する

裁判官によっても、裁判期間は変わります。裁判は「3回やったら終わり」と回数が決められているわけでもありません。

判断の早い裁判官なら、2回で終わることもあります。反対に、和解(示談)を重視する裁判官なら、5回・6回と行われることもあります。

裁判は1ヶ月に1回ほどのペースで行われます。裁判回数によっても、2ヶ月・3ヶ月とずれがでてくるわけです。

裁判と示談でどう変わる?

装飾見出し

示談と裁判で、過払い金の返還額や戻ってくる期間を比較してみましょう。

Hさんからは、以下の内訳で、合計260万円の過払い金が発生していました。

①アコム:約90万円
②プロミス:約80万円
③レイク:約60万円
④エポス:約30万円

示談を行った場合

①アコム(90万円の85%額77万円)
②プロミス(80万円の80%額64万円)
③レイク(60万円の70%額42万円)
④エポス(30万円の90%額27万円)

①~④の和解金の合計が210万円。和解日より3ヶ月後に、全額の返金がありました。

210万円から、費用として約50万円を控除した160万円が、Hさんへのご返金額です。

裁判を行った場合

①アコム(90万円+利息18万円の計108万円)
②プロミス(80万円+利息12万円の計92万円)
③レイク(60万円+利息8万円の計68万円)
④エポス(裁判は行わず27万円で和解)

①~④の裁判での返還金合計が295万円。裁判開始から、7か月後に全額返還となりました。

295万円から、費用として約85万円を控除した210万円が、Hさんへのご返金額です。

示談と裁判の比較を検証

示談で行うと返金額が約160万円。裁判の場合は約210万円。

示談よりも裁判のほうが、手元に残る金額は50万円も増える結果となりました。

一方で、過払い金が戻る期間は、示談より裁判のほうが4か月ほど遅れることになりました。

過払い金請求の方針は事務所ごとに違う

過払い金請求の方針は、依頼する事務所毎に異なります。

「全て裁判で進めます」という事務所もあれば、「裁判は極力しない」という事務所もあり、その中間をとる事務所もあります。

全件を裁判で進める事務所

①過払い金の成功報酬を高額に受領できる。

②裁判をしないと他の裁判案件に影響が出る。

③全て一律で裁判をしたほうが案件の管理が楽。

④金額が少ないより多いほうが依頼者も喜んでくれる。

このような事情で、裁判で進めることを事務所の方針としています。

裁判でなく示談を勧める事務所

①早く手続きを終わらせる方針。

②裁判案件に対応する能力がない。

③事務所に資金がないので早くお金(過払い金)が欲しい。

このような事情で、示談(裁判をしない)方針にしています。

当センターの方針

当センターでは、示談でも、裁判でも、過払い金請求を行っております。ご依頼人の意向によって、請求方法は決定します。

示談派のご意見

・ある程度戻ってくれば裁判まではしなくていい

・家族に秘密なので裁判はしないで欲しい

・それなりの金額を、なるべく早く返して欲しい

裁判派のご意見

・時間はかかってもいいので、全額返して欲しい

・法律上返す義務のあるものは全て返して欲しい

・利息も含めた全額を受け取りたい

ご依頼人の意向を尊重

このように依頼人の意向は実に様々です。依頼人の大切なお金ですので、それぞれの方の意向を最大限尊重していきます。

もちろん、裁判で費用対効果が見込めない場合は、裁判はやめたほうがいいと提案をします。

また、逆に裁判にしたほうが良い場合は、そのような提案も行っています。

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本サイトの執筆者

司法書士・行政書士 山口広樹

司法書士・行政書士
山口 広樹

横浜市出身。司法書士・行政書士15年目。過払い金請求や債務整理が専門分野。

・司法書士(神奈川県会2376号)
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