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相続と過払い金!相続人は過払い金を請求できる?
相続放棄をする前に過払い金の有無を確認しよう!

「相続人が過払い金を請求することはできますか?」

「亡くなった親に借金があったら、相続放棄をするしかないですか?

過払い金とは「払いすぎたお金(不当利得金)を返してもらう」という権利です。

そして、その権利を持つ人が亡くなってしまった場合、その相続人に過払い金を請求する権利が相続されます。

つまり、過払い金を請求せずに故人が亡くなってしまった場合には、代わりにその相続人が過払い金を請求できるということになります。

・既に完済している場合
(故人が借金を完済して10年以内である場合)

・返済している途中で亡くなってしまった場合

このいずれの場合でも、相続人から過払い金を請求することはできるわけです。

相続人が過払い金を請求するためには、故人の戸籍関係の収集や相続書類(相続関係説明図や遺産分割協議書)の作成などを行っていく必要があります。

相続と過払い金!相続人は過払い金を請求できる?(目次)

過払い金とは?

過払い金とは、消費者金融やクレジットカード会社に支払いすぎた利息のことです。

「利息を払いすぎることなんてあるの?」という疑問を持つ方もいるでしょうが、それはもっともな考え方だと思います。

これは、間違えて利息を払いすぎたと…という単純なことではなく、今から10年以上前に出資法と利息制限法という2つの法律の金利の設定に問題があったことに起因しています。

この2つの法律の上限金利(最大で設定できる金利)は、平成22年に貸金業法が改正されるまでの間は、次のようになっていました。

(利息制限法の金利)
・10万円未満(年20%まで)
・10万円〜100万円未満(年18%まで)
・100万円以上(年15%まで)

(出資法の金利)
・出資法の上限金利は29.2%。

出資法の上限金利は29.2%であり、これに違反した貸金業者には罰則がありました。
しかし、当時の利息制限法には、これに違反した際の罰則がありませんでした。

つまり、利息制限法の上限金利を超えていても、出資法の上限金利さえ超えていなければ、なにも罰を受けることはなかったのです。こうした抜け道的な考え方から、なるべく多くの利息が欲しい貸金業者は、利息制限法を超える金利でお金を貸し、高額な利息を受け取っていたのです。実際、2007年以前までは、消費者金融やクレジットカード会社の多数が、20%以上の金利でした。

しかし、平成18年1月13日の最高裁判所の判決で「利息制限法を超える金利は無効。払った人に返しなさい」という過払い金という権利が誕生したわけです。

「過払い金とは?」はこちら
「グレーゾーン金利と過払い金の関係」はこちら

過払い金は相続の対象になるの?

亡くなった人に発生していた過払い金を、その相続人が請求できるのか?という点について確認していきましょう。

相続に関する決まりごとは、民法という法律に記載があります。

民法896条
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。

被相続人とは故人のことを指します。

民法896条で故人が持っていた権利や義務は相続人に引き継がれることになるため、故人が有していた過払い金請求権という権利も相続人に相続されるというわけです。

相続人が故人の過払い金を請求できる権利は、これが根拠です。

相続人は「借金」という義務も相続することになりますし、逆に「過払い金」という権利も相続できるというわけです。

ただし、借金を相続してしまった場合、その義務を背負わなくてもよいように相続放棄という制度があります。相続放棄を利用した場合には、義務を放棄した分、権利である過払い金も相続できなくなるので注意しましょう。

亡くなった人が借金をしていたか調べる方法は?

相続人の過払い金請求

同じような相続事例ならあなたが相続人として過払い金請求できる可能性は高いです

今までに、当センターで相続人からの過払い金請求を進めた例としては、下記のようなケースです。

①遺品整理を行っている際に、毎月振込みで返済を行っているATM伝票を発見。カード会社名をたよりに借金の調査を行ったところ、過払い金が発生していた。

②親が亡くなった後、親の携帯電話にカード会社から督促があり、借金があることが発覚。相続放棄をしようと思ったが、実は古くから利用していたため、過払い金が発生していた。

③親が亡くなった時借金はなかったが、通帳を見るとカード会社に支払いをしていた形跡があった。調査を行ったところ、過去10年以内にキャッシングの利用があったため、過払い金が発生していた。

・借金を返済中のまま亡くなられてしまった場合、
・生前に完済をしていたが過払い金の時効を迎えていない場合(完済から10年以内)
のいずれの場合でも、過払い金を請求することはできます。

相続が発生した場合には、お財布の中に利用明細がないか、通帳にカード会社の引き落としがないかを、過去10年分ぐらいにさかのぼって確認してみましょう。

過払い金を調べる方法!

まずは取引履歴を取寄せ
相続人の過払い金請求

過払い金があるか自分で調べる場合には、まずは「取引履歴」を取寄せることから始めます。

取引履歴とは、過去のカードの利用明細のことです。
「年月日」「借入額」「返済額」などが記載されているため、故人がどのように借金を返済していたか分かるような仕組みになっています。故人がどのように借金をしていたか分からなくても、取引履歴を取り寄せることで、その利用状況を把握できるというわけです。

過払い金が発生しているポイント

①利率と利用時期

過払い金は利息で払いすぎたお金です。そのため、利率を決めた利息制限法という法律に違反した金利で返済を行っていた必要があります。

(利息制限法の金利)
・10万円未満(利率20%が最大)
・10万円以上100万円未満(利率18%が最大)
・100万円以上(利率15%が最大)

この金利を超えて利息を支払っていた場合には、払い過ぎの状態ということです。
一般的には、2007年を境に金利の変更が行われているため、2007年以前からの利用であれば払い過ぎの状態である可能性が高まり、2008年以降に初めて利用されている場合は、払い過ぎである可能性は低くなります。

②最後に返済をしてから10年以上経過していないこと

取引履歴の最後の日付が最後に返済を行った日です。

この返済日から10年以上が経過してしまっていると、過払い金の請求期限を過ぎてしまっています。過払い金の請求期限は、「最後に返済をした日から10年」と決まっているため、これを経過していると、過払い金を請求することはできなくなります。

まずは、この2点を確認することで、過払い金が発生している可能性が高いか低いかはすぐに分かります。

次に過払い金の計算を行う

そして、本格的に過払い金が発生しているかの確認や具体的にいくら発生しているかの確認は、「過払い金の計算」というものを行う必要があります。

過払い金の計算は取引履歴をもとに、エクセルの使えるパソコンを使用して計算を行っていきます。過払い金のエクセル計算ソフトはネットからでもダウンロードできるので、まずはこれをダウンロードするところから始めましょう。「名古屋式」「外山式」と言われているものが一般的な過払い金の計算ソフトです。

取引履歴に載っている「年月日」「借入額」「返済額」の数字をエクセルの該当蘭に入力し、利息はその金額に応じて、利息制限法の利率(20%・18%・15%のいずれか)をエクセルの該当欄に入力していきます。

これをひたすら繰り返すと、やがて支払い残高は早々になくなり、マイナスという状態になっていきます。このマイナスというものは、いわゆる払い終わってしまった状態、つまり払いすぎているお金=過払い金というわけです。

取引履歴の取寄せと過払い金の計算は依頼することもできる

取引履歴の取寄せや過払い金の計算は、自分で行う以外に、司法書士や弁護士などの専門家に依頼を行うことも可能です。

当センターでも行っていますが、無料対応のところは意外とあります。

「過払い金の調査を依頼したい」と伝えれば趣旨は伝わります。
(取引履歴の取寄せと過払い金の計算を行い、過払い金があるか?ないか?調べることを過払い金の調査と呼ばれています。)

専門家にすべて任せたほうが安心という方は、初めから依頼をしたほうが早いでしょう。

法定相続か遺産分割で過払い金を請求へ

法定相続による場合
相続人への過払い金の分配

法定相続よりも遺産分割で代表相続人が過払い金を取得するケースの方が多いです

相続人による過払い金請求を行う場合には、まずその過払い金を誰が取得するか決めます。

法定相続分(民法で定められた相続分)で過払い金を請求する場合には、その全員が過払い金の請求を行う当事者となります。法定相続分は次のように決まっています。

・配偶者と子供が2人いる場合
→配偶者が1/2で2人の子供がそれぞれ1/4ずつ

・子供だけの場合
→2人の子供の場合は1/2ずつ。

仮に、他の相続人の協力が得られない場合や、自分の分だけ請求したいという場合には、そのような方法も可能です。

つまり、法定相続分のみの過払い金請求も可能です。

遺産分割による場合

一方で、法定相続分と異なり特定の相続人に過払い金を相続させる場合(例えば、配偶者と子供が2人いるが、配偶者が全ての過払い金を取得する場合)には、遺産分割協議書でその内容をまとめていれれば、法定相続分と異なる相続分で過払い金を取得することが可能です。

なお、「いったん自分(代表相続人)が全て取得して、あとで他の相続人に渡します」という方がいますが、これには注意が必要です。この形態では、「贈与」にあたってしまうため、贈与税が発生してしまう可能性もありますので、遺産分割協議の中で事前に決めていきましょう。

相続人が過払い金請求を行う場合に必要な書類

相続では書類が多く複雑なケースもあり
ます。心配な場合には専門家に依頼を。

・故人の出生~死亡までの戸籍謄本
(除籍謄本・改製原戸籍なども全て必要です)

・相続関係説明図

・遺産分割協議書(法定相続分と異なる場合)
※その他、相続分の譲渡証書や債権譲渡証書などで対応を行っていく場合もあります。

・各相続人の現在の戸籍抄本

・各相続人の印鑑証明書(法定相続分と異なる場合)

などが相続人から過払い金請求を行う場合に必要となってきます。その他、故人の住民票の除票や相続人の住民票が必要になるケースがあります。

なお、「書類を集めるのに大変そう…」と嘆く方もいらっしゃいますが、これらの書類は過払い金請求を司法書士や弁護士に依頼すれば、印鑑証明書以外は専門家のほうで手配することも可能です。

戻ってきた過払い金に相続税はかかる…?

過払い金と相続税

過払い金だけなら相続税はなし。過払い利息については相続税対象になるので注意。

戻ってきた過払い金に基本的に相続税は発生しません。(国税庁回答)

相続で戻ってきた過払い金の性質は、「故人が払いすぎたお金が戻ってきた」だけです。払いすぎのお金が戻ってきただけなので、課税されないわけです。

しかし、過払い金には過払い利息というものがあり、「過払い金に利息をつけて返してくれ」と裁判所に訴えることもできます。こうした過払い利息については、払いすぎたお金を超えて戻ってくるものなので、相続税の課税対象となります。

しかし、相続税は、(3000万円×+相続人の数×600万円)を超える場合でなければ課税されません。例えば、相続人が2人の場合であれば、3000万円+2人×600万円の4200万円以上の財産がない限りは相続税は発生しないというわけです。

過払い金だけが相続財産の場合には、利息だけで3000万円以上になることは100%ありませんので、税務申告の心配はないでしょう。

一方で、不動産など高価な財産を所持している場合には、相続税の課税対象となる場合もありますので、注意しましょう。

相続人から過払い金請求をする場合の注意点

過払い金請求をすると相続放棄はできなくなる!

相続人が過払い金を請求する場合には他に影響がでないか注意!

一つ目は、相続人から過払い金という権利を行使する(過払い金請求を行う)と、相続放棄などができなくなります。これは、過払い金を請求することは、相続で言う単純承認という行為に当たるためです。

単純承認をすると、相続を承認したことになるので、以後相続放棄をすることは認められないと民法で決められています。

そのため、過払い金よりも多くの負債がある場合には、その過払い金を超える負債を支払わなければいけなくなってしまいます。こういった場合であれば、過払い金を請求するのではなく、相続放棄を行ったほうがよいことになりますので、注意しましょう。

ブラックリストにならないように注意

二つ目は、相続人として過払い金請求を行うカード会社と相続人であるあなたが利用しているカード会社が一緒の場合です。

例えば、父がオリコでカードを利用し、娘もオリコでカードを使用。
父が亡くなり、娘が父のオリコの過払い金請求権を相続した場合などです。

この場合、父のオリコの過払い金だけを請求して、娘の元々ある借金をそのまま支払っていくということは基本的にできません。

両者を合算して整理しますので、父のオリコの過払い金が80万円・娘の支払い残が100万円のような「相続した過払い金<自分の支払い」となってしまう場合には、ブラックリストの問題が発生する可能性がありますので注意が必要です。

ブラックリストになってしまうと、クレジットカードの類が使えなくなったり、銀行でローンを組むことができなくなってしまうので、注意しましょう。

相続人の過払い金請求の事例

ここでは、当センターでの相続人からの過払い金請求の事例をご紹介します。

相続放棄をする必要がなくなった!

横浜市金沢区 Yさんの場合

Aさんは父親が亡くなったため、遺品整理を行っていたところ、消費者金融のカードや明細を発見したそうです。その後、父親の携帯にも「お支払の件で…」と消費者金融から電話があるようになったため、当センターに相談をされました。

「相続放棄をすれば大丈夫でしょうか?わずかですが保険が入りましたが、それは立替えた葬儀代に充てたいし…」とAさんは動揺した様子でした。

まずは、借入先の調査を行い過払い金が発生していれるかの確認、相続放棄ができる期間が3ヶ月なので、急いで過払い金の調査を開始しました。

相続で背負った借金の対策としては、過払い金を請求していく方法もあります。状況によって相続放棄より効果が高い場合も。

過払い金の調査結果は次のとおりでした。

①アコム
35万円あった借金は0。
さらに、過払い金として120万円の返還

②ニコス
20万円あった借金は0。
さらに、過払い金として90万円の返還

③オリコ
生前に完済していたオリコにも調査。
40万円の過払い金の返還

借金は全て0になり、過払い金として250万円戻ってくる結果となりました。

相続放棄を行ってこの借金を0にした場合と比較すると、250万円も変わってくるため、相続放棄をせずに過払い金を請求したまさに成功例といえます。

「本当に戻ってくるんですね。お墓もなかったので本当によかった。
これで仏壇やお墓にもお金を充ててあげられます。」
とAさんはホッとした様子でした。

相続人が過払い金を請求する場合の流れ

お電話又はメールにてご状況の確認

まずは、メール又はお電話で相続のご状況を伺って参ります。

・いつお亡くなりになってしまったか?
・相続人は何名いらっしゃるか?
・相続した財産の有無
・相続した負債の有無
(負債状況が明らかになっているか?)

まずは、上記の内容を確認させて頂き、相続放棄の必要性があるか、過払い金発生の可能性があるかなどの簡易診断をさせて頂きます。

ご来所にて詳細な相談→手続きへ

ステップ1の簡易診断を元に、費用や過払い金請求の内容に問題がないようであれば、早速過払い金の調査からスタートしていきます。

※借入先が不明な場合※
「どこから借りていたか分からない」
「他にもあるかもしれない」
などの場合には、信用情報機関(CIC・JICC・全銀協)から信用情報を取寄せれば、クレジットカードや消費者金融、銀行のローンの利用状況は全て記録されています。

過払い金の調査へ

対象のカード会社へ過払い金の調査を行います。1~2ヶ月ほどの期間がかかります。

なお、ご依頼のタイミングによっては相続放棄の期間である3ヶ月を経過してしまうことがありますが、「債務調査のため3ヶ月を超えてしまった」と上申書を提出することで、3ヶ月を超えてしまった場合でも相続放棄は可能です。

過払い金が発生していた場合には、他の負債状況などを考慮して、過払い金を請求するか相続放棄を行うか決定していきます。

一方、過払い金が発生していなかった場合には、相続放棄の手続きを進めていきます。

戸籍の収集・相関図や遺産分割協議書の作成

過払い金の調査と並行して、相続に必要な種類の収集を行っていきます。

過払い金の請求を行うにしても、相続放棄を行うにしても、故人の戸籍一式や相続関係説明図など相続に必要な書類が多々あります。

印鑑証明書以外の書類は、当センターで取得代行や作成を行っていきます。相続書類が整っていない場合でも、まずはご相談を頂ければ大丈夫です。

過払い金の請求へ

過払い金の発生の確認、そして過払い金の金額の確定、最後に相続の必要書類が整ったら、カード会社へ過払い金の請求を行っていきます。

相続人が複数いる場合には、遺産分割を行い、過払い金をどのように相続するかを決定していきます。

※相続人が2名以上いる場合には、過払い金をどのように分配するか決める必要があります。
法定相続分といって民法通りに平等に分配するのであれば、遺産分割は不要です。

本サイトの執筆者

山口 広樹

横浜市出身。司法書士・行政書士14年目。
かながわ総合法務事務所の代表。
過払い金や債務整理を専門分野として、5000名以上の事案を解決。

・司法書士(神奈川県会2376号)
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